国籍が異なるカップルが結婚する場合、結婚ができるかどうかはそれぞれの国の法律で定められている結婚可能年齢等の要件(実質的要件)により判断されます。一方、結婚を合法的に成立させるための手続上の要件(手続的要件)は、日本で結婚する場合、日本人同士の結婚と同じです。すなわち地元の役所に届出ることにより成立します。また相手がオーバーステイの状態でも結婚はできます。

以上のように、日本では結婚が可能かどうかの要件(実質的要件)は、結婚する人の国の法律によって判断することになっとります。つまり日本人が結婚できるかどうかは、相手が外国人であろうと日本国の法律(民法)により、また相手の外国人が結婚できるかどうかは外国人自身の国の法律により判断されます。
 
日本人が結婚する場合に法律上満たすべき要件

〔1〕婚姻年齢に達していること(男18歳、女16歳)
〔2〕お互い婚姻する意思があること
〔3〕重婚にあたらないこと
〔4〕未成年者の婚姻については保護者の同意が必要
〔5〕近親婚にあたらないこと(直系血族、3親等内の傍系血族間、直系姻族間は結婚できない)
〔6〕女性が再婚の場合は、前の婚姻解消、取消し日より6ヶ月経っていること

例えばイスラム圏の男性と結婚する場合、一夫多妻制をとる国では既婚男性による婚姻(重婚)は認められることがありますが、日本の法律では「公序良俗」に反するという理由で認められないことになります。

  日本の法律では、国際結婚を有効に成立させる手続きについて、結婚を挙行する場所の法律に従うこととされています。つまり日本で結婚するのであれば、日本人配偶者の本籍地または住所地の市区町村長に婚姻届を提出するという手続きが要件となります。

 婚姻届が受理されましたら、日本人配偶者を筆頭とする新戸籍が編製されます。例えば、妻が夫の姓を名乗る場合、夫は父親を筆頭者とする戸籍から除籍されて、夫を筆頭者とする新たな戸籍が作られ、妻は父親を筆頭者とする戸籍から除籍され、新たに作られた夫の戸籍へ入ります。しかし相手が外国人の場合は、たとえ日本人と結婚しても日本人にはなれない(日本国籍をもたない)ので戸籍の身分事項に婚姻の事実が記載されるだけです。特に女性の場合、外国人と結婚しても姓が変わるわけではありません。要するに国際結婚では"夫婦別姓"があたりまえなのです。子供が生まれたら日本人親の戸籍に入りますが、戸籍の記載全体から見ると自分は独身者のような感じです。

 もし外国人配偶者の姓を名のりたいのならば、結婚後6ヶ月以内に限り「氏の変更届」をお近くの市役所(海外在住の場合は現地日本大使館など)に出せば、戸籍の上では外国人の姓に変更することができます。ただしこの6ヶ月という期間を過ぎますと家庭裁判所の許可が必要です。

 日本における日本人同士の結婚であれば日本の民法が適用されますが、日本人と外国人同士あるいは外国における日本人同士または外国人との結婚の場合は、国際私法を適用しながら結婚が有効に成立するように進めていきます。

■ 日本において日本人と外国人が結婚する場合 ■

 結婚当事者の一方が日本人である場合、日本において結婚するときは日本の方式になりますので、日本人の本籍地または住所地の市区町村長へ婚姻届を出してください。一方、外国人の必要な添付書類としては、国籍にもよりますが、パスポート、出生証明書、婚姻要件具備証(いわゆる独身証明書。外国文の場合は日本語訳が必要)などです。そして外国人である配偶者の国(大使館や領事館等公的機関)へ報告(届出)すれば、相手の国でもその結婚は有効に成立します。

 注 意 点

 ① なお各国法制度の違いにより、最初に外国人配偶者の国(あるいは在日大使館などの公的機関)で手続きを行わなければ、結婚が法的に成立しないケースもあります。この点は各国の大使館などに確認をとってください。この場合、大使館等で発行された結婚証明書とその日本語訳を結婚後3ヶ月以内に市区町村長に提出してください。こうすることによって相手国方式での結婚が日本でも有効に成立することになります。逆に、日本での婚姻届が正式に受理された後でないと、相手国方式で手続きすることができない国もありますので注意してください。

 ② 外国人配偶者が外国にいる場合は、日本にいる日本人から婚姻届用紙を現地に郵送し、相手方が署名して送り返してもらい、日本人当事者のみが市区町村長に届出ることも可能です。

■ 日本において外国人同士が結婚する場合 ■

 日本に住む外国人同士の結婚であっても、日本の方式により住所地の市区町村長に届出ることで結婚を有効に成立させることができます。 もちろんお二人の本国法により成立させることも可能です。

■ 外国において日本人同士が結婚する場合 ■

 外国に住む日本人同士の結婚については、居住する国・地域にある日本の在外公館(日本大使館・総領事館)に婚姻届を提出することができます(領事婚)。 居住する国・地域の方式による結婚でも有効に成立しますが、この場合、現地で発行された結婚を証する書類を在外公館に届出ることにより、外務省を経て日本の本籍地の市区町村長へ送付され、お二人の結婚が戸籍に反映されます。

■ 外国において日本人と外国人が結婚する場合 ■

 カップルの居住地が外国である場合、居住する国・地域の方式あるいは相手方外国人の国・地域の方式により結婚を成立させることも可能ですが、当事者の一方が日本人である場合、日本人の本籍地の市区町村長に婚姻届を郵送することにより結婚を成立させることもできます。外国の方式により結婚をした場合、結婚を証する書類を添付して現地の在外公館に届出れば、しばらくして日本の戸籍に反映されます。 

国際結婚による日本国籍の得喪

● 日本人女性と外国人男性の婚姻の場合

 大多数の国では、外国人と結婚することにより日本の国籍が失われることはありません。しかし、日本人女性が一部の国(サウジアラビア、イラン、エチオピアなど)の外国人男性と結婚した場合、相手国の法律により必然的に夫の国の国籍を取得します。 この場合、自己の意思で外国国籍を取得したわけではないので日本国籍は失いませんが、二重国籍者となります。 もし20歳になってから重国籍者となった場合、日本の国籍法によりその時から2年以内にいずれかの国籍を選択しなければなりません。本籍地または所在地の市区町村役場に国籍選択届をします。
 また結婚後、届出などの意思表示をすることにより、夫の国籍を取得する国(パキスタン、タイ、ブルネイ、エジプトなど)もあります。この場合、自己の意思により外国籍を選択したものと扱われ、日本の国籍法により自動的に日本の国籍を喪失します。自己の意思により外国籍を取得したのかそうではないのか、その後の手続きでトラブルに発展することがありますので、ご注意ください。

● 日本人男性と外国人女性の婚姻の場合

 日本人男性が外国人女性と結婚することにより、日本人男性が日本国籍を喪失することはありません。もし相手国の国籍を取得したい場合は、その国の法律にもとづいて帰化の手続きを行う必要があります。

日本において日本人と外国人が結婚するための手続きは以下のとおりです。

<必要な書類の提出>

以下の書類をそろえて市区町村役場の戸籍課の窓口へ提出することになります。

○ 婚姻届 窓口に備え付けられています。
○ 戸籍謄本 日本人配偶者が本籍地以外で届け出る場合、必要です。
○ 結婚要件具備証明書 外国人配偶者が独身であること、本国法の結婚要件(年齢など)を満たしていることを証明するものです。在日大使館などで発行してもらいます。提出の際、日本語の訳文も必要です。
 国によっては発行していないところもありますが、その場合、証明書に代わる書類として宣誓書(本人が本国の領事の前で宣誓することにより、領事が発行する)、本国の公証人証書、戸籍(戸籍制度のある国)などを提出します。
○ 外国人配偶者の国籍を証明する書類 
 パスポート、場合によっては外国人登録証明書など。正式のパスポートを所持していない場合、大使館などで再発行してもらうか(偽造、紛失など)、これに代わる証明書(トラベル・アフィダビットあるいはトラベル・ドキュメントと呼ばれる)などを発行してもらいます(提出時に日本語訳文も必要)。

<届出の受理>
 役所の窓口で書類が受理されてから戸籍に記載されるまで1週間から1ヶ月ほどかかります。受理時点で「婚姻届受理証明書」を発行してもらいましょう。外国人配偶者の大使館などに届け出る必要があるからです。
 もし結婚の事実に疑わしい点があり、役所から法務局の方へ「受理伺い」がなされますと、調査に数ヶ月かかる場合もあります。なお外国人配偶者がオーバーステイだからといって結婚が認められないということはありません。詳しくはオーバーステイのページをお読み下さい。

 外国人の姓を名のりたいのならば、結婚後6ヶ月以内に限り「氏の変更届」をお近くの市役所(海外在住の場合は現地日本大使館など)に出せば、戸籍の上では相手方外国人の姓に変更することができます。ただしこの6ヶ月という期間を過ぎますと家庭裁判所の許可が必要です。

 結婚手続きを無事終えて、日本に住み続けるために「日本人の配偶者等」の在留資格を申請しましょう。
 この資格を取得するには、偽装結婚の疑いを晴らすために比較的厳格な審査が行われます。申請のため提出する書類もいろいろ要求されることになるはずです。申請が許可されるためには、以下のポイントを押さえて書類を収集、作成することがコツといえます。
 
 ○ 日本人との結婚が法律上、有効に成立していること
 ○ 結婚後も同居し、お互い助け合いながら生活している事実があること
 ○ 経済的にも独立した生計を営み、公共の負担にならずに生活していけること

 したがって日本人配偶者と死別した場合、離婚した場合、またいわゆる内縁関係にある場合は、この資格の対象にならないことになります。
 
 「日本人の配偶者等」資格が付与されれば、「永住者」資格と同じく、日本で自由に就労し、経済活動を営むことができます。また結婚後、この資格で3年以上日本に住みつづければ「永住者」資格が認められる可能性もあります。

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