養子縁組とは、本来血統関係のない者の間に、実の親子と同一の関係を創設する法律行為です。養子縁組しますと、日本人である養親の戸籍に、身分事項としてその旨が記載されます。国際間の養子縁組を成立させるためには、縁組当時の養親となる者の本国法が適用されます。 ただし、養子となる子の本国法に養子の保護に関する規定がある場合は、その規定も満たす必要があります。

【普通養子】

● 制度の趣旨

 養親と養子のお互いの合意により成立する養子制度です。縁組が成立すれば、養子は養親の戸籍に入り、養親の氏を名乗ります。養親の嫡出子としての身分を取得するとともに養親の親族とも親族関係に入ります。ただし縁組後も実親との親子関係は断絶されず、相続、扶養等の権利義務は存続します。つまり養子は、実親及び養親双方の親より相続することができ、双方の親に対して扶養義務を有することになります。

● 実質的要件

◎ 養親となる者は、成人であること。

◎ 配偶者のある者が未成年者を養子にしようとするときは配偶者の同意を得ること。 
◎ 養子となる者は、年齢は問われません。しかし、未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所の許可を要します。ただし、自分あるいは配偶者の実子(実の親子)である場合は裁判所の許可は要しません。
◎ 養子となる者が15歳未満の場合、親権者など法定代理人による承諾が必要です。
◎ 養子となる者が養親の尊属(父母、祖父母など)あるいは年長者でないこと。
など。

● 方式的要件(成立の方法)

市区町村長に養子縁組届を提出することにより成立します。

【特別養子】

● 制度の趣旨

 生みの親との親子関係を完全に断絶させることにより、養父母との間に実子(実の親子)同然の関係を成立させる養子制度です。虐待された子供を救わなければならないなど、養子にするべき特別な理由があることが必要です。

● 実質的要件

◎ 養親となる者は、25歳以上、結婚していること。 
◎ 養子となる者は、審判申し立ての時に6歳未満であること。
◎ 養子となる者の両親の同意を得る必要があります。

◎ 家庭裁判所は、6か月以上の期間にわたり養親の監護状況を観察し、その結果を考慮しながら特別養子縁組の審判を行うこと。
など。

未成年者を養子にする場合、配偶者と共同して縁組しなければなりません。ただし、養子となる者が夫や妻の連れ子などの場合は、その必要ありません。

● 方式的要件(成立の方法)

 養父母が家庭裁判所に審判を申し立てることにより成立します。審判確定日より10日以内に裁判所の審判書(謄本)を添付し、市区町村長に報告的届出を行います。

 ● 実質的要件

 「法の適用に関する通則法」第31条第1項によれば「養子縁組は縁組当時の養親となるべき者の本国法による」としながら、「この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者もしくは第三者の承諾もしくは同意または公の機関の許可その他の処分が必要であるときは、その要件も備えなければならない」と規定しております。

 ● 形式的要件

 養子縁組が成立するための形式的要件について、通則法第34条は「親族関係についての法律行為の方式は、その法律行為の成立について適用すべき法による」と定められています。そして「前項の規定にかかわらず、行為地法に規定する方式は有効とする」とも規定しています。

 以上の法の趣旨からすれば、日本人が日本で養親となる養子縁組の要件は、日本法によることができ、方式も日本法に沿った手続きでよいことになります。

 ● 家庭裁判所の許可

 さらに養子を保護するために、養子の本国法が本人やその実父母の承諾、同意、あるいは裁判所や公的機関の決定、許可等を必要としている場合は、その要件も満たす必要があります。公的機関の許可が求められる理由が養子となる者の福祉をはかることであれば、日本で養子縁組を行う場合、同様の目的を持つ家庭裁判所の許可をもってこれに代えることができるとされています。

 日本人夫婦が外国人の子どもを養子縁組する場合、養子縁組の効力(実質的要件)は原則として養親の本国法である日本法にもとづいて判断します。また養子の本国法が養子本人または第三者の承諾、裁判所の許可を必要とする場合、これも満たさなければなりません(保護要件)。日本法によれば、配偶者の未成年の連れ子を養子にする場合でも裁判所の許可を必要としませんが、養子の本国法が裁判所の許可を必要としている場合はこれを満たさなければなりません。

 形式的要件も養親が日本人の場合は日本法に基づきますので、市区町村長に対する届出で成立します。ただし養子の本国法が裁判所の決定による縁組のみを認めている場合は、日本の家裁による許可審判を経てから市区町村長に対する届出が必要です。一方、養子の本国法によれば届出のみで縁組が成立する場合(韓国など一部の国がそうです)、同国人の成年者または配偶者の連れ子との縁組は、市区町村長に対する届出のみで成立します。

 外国に在住する子どもを養子にする場合は、子どもの本国における行政機関等の許可が下りなければ、出国が認められない場合があります。このような場合であっても、一度短期滞在ビザ等で日本に入国し、日本に居住している間に日本法に基づく有効な養子縁組を行えば、道が切りひらけてくる可能性があります。

 【普通養子】 日本人、永住者、特別永住者、定住者が扶養する外国籍の養子(ただし6歳未満に限る)に対しては「定住者」のビザが与えられます。

 【特別養子】 日本人の親子と同等視されますので「日本人の配偶者等」のビザが与えられます。

 以上からお分かりのように、養子となる外国人が成人の場合、養子縁組により日本に住むための適法なビザが与えられるわけではありませんので、ご注意ください。 養子が6歳以上であれば、外国人配偶者の連れ子の場合は「定住者」、または日本語学校で日本語を勉強するための「留学」のビザを申請することも考えてみましょう。

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